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地産地消のまち行動指針

 市では、地域産業の活性化や伝統文化の継承を図るとともに豊かな自然環境を保全していくために地産地消を推進しています。そこで、市、生産者、事業者及び市民がそれぞれ担うべき役割を明らかにするとともに、地産地消を推進するための基本方針を定め、一体となって地産地消を推進するためのガイドライン「地産地消推進のまち南房総」行動指針を策定しました。

「地産地消推進のまち南房総」行動指針

 (前文)

 南房総市は、豊かな自然に恵まれた地域で、古くからその恩恵を受け先人たちの優れた技術とたゆみない努力により農業、漁業を中心に発展してきた。

 農業においては、温暖な気候を生かした野菜、果実、花き栽培及び良質な土壌を生かした水稲栽培のほか酪農発祥の地として先進的に生産性の向上に取り組んだ酪農業などさまざまな農業形態が営まれ、市場から高く評価される産品の提供を行っている。また、林業は、市域の54.3%の面積を林野が占め、人工林のほとんどは戦後植栽されたもので収穫期を迎えつつある。三方が海に面している地勢を持つ漁業は、回遊性の魚類のほか、低棲息性の魚類、各種貝類、海藻類等の資源に恵まれているため魚種も多種多様で、県下水産業の中心的地域として発展し、漁船漁業に加え採貝藻漁業や各種養殖業が広く営まれている。また、関東唯一の捕鯨基地がある。

 しかし、近年、経済のグローバル化や流通の発展に伴う輸入農林水産物の増加や国内外の産地間競争の激化、担い手の高齢化と減少という問題に加え、食品の偽装表示、無登録農薬の使用など消費者の信頼を失う出来事があり、食の安全性、農林水産業の発展及び地域の活力への影響が懸念されている。

 このような中で、消費者や生産者等が一体となって農林水産業の果たしている多面的な役割や健康と生命を支える食の大切さ、地域の食文化などへの理解を深めると同時に、消費者と生産者の交流を通じて食と農林水産業をつなげていくとともに、地域で生産されたものをその地域で消費する地産地消の取組を進めていくことが重要である。

 ここに、新鮮で安全安心な高品質の農林水産物の提供や消費、地域産品の消費拡大による第一次産業従事者の所得の向上、第一次産業の活性化による遊休農地の解消など里山、里海風景の保全や観光の振興、さらには食への理解促進による健康の確保などを目指す決意をし、市、生産者、事業者及び市民が一体となって地産地消を推進するため、この行動指針を策定する。

 (目的)

第1 地産地消の推進に関し、基本理念を定め、市、生産者、事業者及び市民がそれぞれ担うべき役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定め、環境と調和した農林水産業の持続的な発展及び豊かな市民生活の実現を図ることを目的とする。

 (定義)

第2 次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによる。

  1. 生産者 市内で農林水産物を生産する者及びその組織する団体をいう。
  2. 事業者 市内で食品の製造、加工、流通、販売又は飲食の提供を行う者及びその組織する団体をいう。
  3. 地域農林水産物等 市内で生産された農林水産物及び市内生産者と市外の生産者又は事業者が連携、協業し生産された農林水産物並びにこれらを加工したものをいう。
  4. 食 地域農林水産物等を使用して調理された食品、料理及び飲食等広範な食をいう。
  5. 地産地消 地域農林水産物等を市内で消費することをいう。
  6. 食育 食に関する知識及び食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育て、生きる力を育むことをいう。
  7. 資源循環 環境との調和に配慮した、農林水産業有機物資源やバイオ燃料を活用することをいう。

 (基本理念)

第3 地産地消の推進は、次により行うものとする。

  1. 市、生産者、事業者及び市民がそれぞれの役割を果たすとともに、農林水産業の取組及び地域農林水産物等の情報を共有することにより信頼関係を構築し、それぞれの立場を理解しながら協力して行うものとする。
  2. 地域農林水産物等の生産、流通の過程において資源循環を取り組むとともに、市民が安全で安心できる仕組みを構築しながら行うものとする。
  3. 市民の豊かな食生活の維持向上に資するとともに、地域の食文化が継承され、発展していくよう行うものとする。
  4. 生産者、事業者及び市民の自発的な取組を尊重しながら行うものとする。

 (市の役割)

第4 市は、基本理念にのっとり、次の役割を担う。

  1. 生産者、事業者及び市民と連携し、地産地消の推進に関する施策を総合的に実施するものとする。
  2. 市は、生産者、事業者及び市民が自発的な意思により地産地消に取り組む気運の醸成に必要な措置を講ずるものとする。

 (生産者の役割)

第5 生産者は、基本理念にのっとり、次の役割を担う。

  1. 消費者が求める安全で安心な農林水産物の生産及び供給をするとともに、資源循環に取り組みながら農山漁村の環境の維持保全に努めるものとする。
  2. 生産した農林水産物の情報発信及び消費者との交流を促進し、消費者の意向を反映した質の高い農林水産物の生産及び供給に努めるものとする。
  3. 市、事業者及び市民が行う地産地消を推進するための取組に積極的に協力するよう努めるものとする。

 (事業者の役割)

第6 事業者は、基本理念にのっとり、次の役割を担う。

  1. 地域内農林水産物等を優先的に取扱い又は使用するよう努めるものとする。
  2. 自主的かつ創造的な事業活動を行うとともに、市民の意向を踏まえた商品の開発を行うことにより、地域の産業振興に資するよう努めるものとする。
  3. 市、生産者及び市民が行う地産地消を推進するための取組に積極的に協力するよう努めるものとする。

 (市民の役割)

第7 市民は、基本理念にのっとり、次の役割を担う。

  1. 農林水産業が果たしてきた多面にわたる機能と地域農林水産物等に対する理解を深めるとともに、地域農林水産物等を優先して消費するよう努めるものとする。
  2. 家庭及び地域において食育を推進することにより、食の重要性を理解し、健康で豊かな食生活の維持向上に取り組むよう努めるものとする。
  3. 市、生産者及び事業者と連携し、地産地消を推進するための取組に積極的に協力するよう努めるものとする。

 (基本的施策)

第8 市は、地産地消を推進し、環境と調和した農林水産業の持続的な発展及び豊かな市民生活の実現を図るため、次に掲げる施策を講ずるものとする。

  1. 生産者、事業者及び市民が地産地消に関する理解と関心を深めるとともに、相互理解を深めていくため、啓発活動、情報の共有及び交流活動の促進を図ること。
  2. 消費者が求める安全で安心な農林水産物の生産及び供給を進めるために、生産、流通及び販売等の各段階における履歴を開示できる取組及び資源循環の促進を図ること。
  3. 地域の特性を生かしつつ多様な品目の安定生産を進めるとともに、地産地消に寄与する人材の育成、資質の向上及び確保を図ること。
  4. 農商工等の多様な連携により、地域農林水産物等を活用した新商品の開発及び販売先の拡大を図ること。
  5. 学校、福祉施設などの公共施設又は市が主催する行事等において、地域農林水産物等を優先的に使用することにより、地域農林水産物等の需要の拡大を図ること。

 (食育との連携)

第9 市は、地産地消に関する施策の策定及び実施に当たっては、市民が健康で豊かな食生活の維持向上に取り組めるよう、食育の推進運動との連携を図り、効果的に行うものとする。

(推進体制の整備)

第10 市は、生産者、事業者及び市民と一体となって、基本理念に基づく地産地消の推進を目的とした体制の整備に努めるものとする。

 (委任)

第11 この指針に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この指針は、平成22年2月28日から施行する。

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