11年11月3日
もっと知りたい安房の海のこと vol.3「絵馬と万祝」・「日本綿を紡ぐ」
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 神社に奉納されるものとして、絵馬がある。かつて日本人は、神の乗り物として神聖なものとされた生きた馬を献納したという。その後、生きた馬に代わり、板に馬の絵を描いて奉納した。それが絵馬の起源だといわれている。
 絵馬には祈願の内容によって、さまざまな絵柄が描かれるようになる。船主が航海の安全を祈願し、奉納したものを「船絵馬」と呼ぶ。そこには船名と奉納者名が記され、船の様子や乗組員の様子、また漁の様子などが詳しく描かれている。江戸から明治にかけて描かれたこの船絵馬は、信仰の資料としてだけではなく、写実的に細部にわたって描かれていることから、当時の船の構造、漁労用具、漁の方法などを読み解く大事な資料ともなる。この千葉県にも、各地の漁港近くの神社には、多くの船絵馬が奉納されている。

 あわコットンクラブでは、「もっと知りたい安房の海のこと」の第3回として、第1回目の講演で「干鰯と木綿文化」についてお話し下さった水産学者の平本紀久雄先生に再びご登場願い、この「船絵馬」を読み解いていただく。

 また、この房州がその発祥の地といわれる「万祝」。これは船主や網元が、その大漁の祝として、乗組員たちに配ったとされる、型染めの祝着である。この万祝は、静岡から青森まで東日本の海沿いではよくみられるものである。
 白浜海洋美術館は、その蒐集の数は群を抜くとされている。今回は、この万祝や船絵馬を実際に房総半島を足で蒐集された前館長の柳和子さんに、蒐集の経緯や万祝のデザインに関してのお話を伺う。

 講演のあとには、あわコットンクラブのメンバーによる「日本綿を紡ぐ」ワークショップが行われる。ワタから糸になるまでの実演と、綿繰り、綿打ち、糸紡ぎが体験できる。


 「今回で、あわコットンクラブが企画した『もっと知りたい安房の海のこと』は、今年最後になります。この房州の地で、元禄地震前後の自給自足的な漁業から商業的な漁業へと変貌を遂げていくきっかけとなったのは、私たちが深く関わっていた木綿と藍の、関西での爆発的な生産からでした。明治・大正・昭和へと、その漁法の推移は、多くの課題も残しました。そして、漁業の歴史は日清、日露、そして二つの世界大戦とも深く関わり、この房州とアメリカの民間レベルでの交流も見てきました。
 今回最後にもう一度、この房州の漁業と布の関係を振り返りたいと思います。美しい自然を守ること、豊かな森と海を育てること、そこで生きてきた人々の暮らしの推移をみつめながら、今、わたしたちにできることは何か、改めて考える機会となれば嬉しいです。」



【日時】11月12日(土)13:30?16:00
【場所】白浜海洋美術館
【講演】「絵馬と万祝」(13:30?14:30)
    講師;平本紀久雄先生(水産学者)
       柳和子さん(白浜海洋美術館 前館長)
【ワークショップ】「日本綿を紡ぐ」1000円(材料費込)
【入館料】500円

【あわコットンクラブ】

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