5月のウォッチングは、八犬伝の舞台・富山に新緑とロマンを訪ねました。
富山は古代神話に登場する安房開拓の祖である天富命(あめのとみのみこと)の逝去した地で、はじめは天富山(あめのとみのやま)といったそうです。
『古語拾遺』によると、この天富命は、良い布を織るための植物を栽培するために四国の阿波にから、この房総半島の館山・布良に上陸したそうです。そして、良い布のできる房総半島は、麻の意である「総の国」と名付けられたそうです。
富山中学校から途中、合戸の桜の脇を通り、伏姫籠穴前の広場へ。ガイドから八犬伝の物語の始めとなる籠穴の話を聞き、いよいよ富山に入っていきます。
山道はきれいに整備されていますが、急な坂もあります。汗も噴き出し、足の疲れも溜まりますが、参加者同士で声をかけながら、展望台のある北峰へ到着。
展望台からは360度の大パノラマ。眼下の田んぼの水面もこの時期ならではの風景です。
もちろん山々の新緑はさまざまな緑色を配色しています。
南峰のある観音堂境内には、唱歌・富士山の作詞者でもある巌谷小波(いわやさざなみ)の句碑があり、「水茎の香に山も笑いけり」と記されています。「山笑う」は、俳句の春の季語で新緑を花に包まれて華やいだ山の様子だそうです。まさしく、この日の富山は「山笑う」。
帰りの下り道は、爽やかな空気を味わいながら、観音堂から移されたという福満寺の仁王様を見て、迎えのバスに向かいました。